タントラから見る——タナトスとエロス

こんにちは、東京でタントラをベースにした気功×レイキ×タントラで女性を覚醒させるヒーリングをしてる気功師直紀です。
今回は僕がヒーリングをしてる上で意識してる概念、エロスとタナトスについてです。
◆ タナトスとエロス——私たちの中で静かに動く「ふたつの力」
人間の心には、相反するようでいて、実はどちらも欠かせない二つのエネルギーが流れています。
ひとつは エロス(生の力)。もうひとつは タナトス(死の力)。
この二つを聞くと、「エロス=良い」「タナトス=悪い」というイメージを持つ人もいます。でも実際にはそう単純ではなく、むしろ どちらが欠けても、心はゆがんでしまう くらい大事な存在です。
■ エロス:生きる方向へと背中を押すエネルギー
エロスは簡単に言えば「前に進む力」。
生きたい、愛したい、つながりたい、何かを生み出したい。
そういう“生命そのものが持つ躍動”のようなエネルギーです。
恋愛で心が温かくなる瞬間、創作に没頭して時間を忘れる夜、誰かの優しさに触れて胸がじんとする時。
ああいう「生きる喜び」が自然に湧き上がる感覚は、ぜんぶエロスの領域。
タントラ的に言えば、身体の奥でシャクティが目を覚まし、上へ上へとほどけていくあの感じ。
それもエロスの一形態です。
■ タナトス:終わらせることで新しいスペースをつくる力
一方でタナトスは「死」の力。
といっても、ここでいう“死”は怖いものではありません。
・手放す
・区切りをつける
・古い自分を脱ぐ
・静かに戻る
こうした働きがタナトスの役割です。
恋が終わった後の深い静けさや、人生で大きなものを失った後の虚無感。
あるいは、断捨離した後に生まれるあのスッとした空気。
それらはネガティブに見えて、実は 新しいエロスが入ってくる“空白” をつくっています。
タントラでも、官能や快楽の高まりの後に訪れる静寂、
“無”に沈むような感覚を大切にします。
あれはまさにタナトス的なエネルギーです。
エヴァのサントラにエロスとタナトスを感じた話
思い返せば、タナトスという言葉を初めて知ったのがエヴァンゲリオンのサウンドトラックにあったThanatosという曲です。
エヴァンゲリオンのサントラって、特にエロスとタナトスを感じるんですよね。
例えばThanatos ・甘き死よきたれは、まさにタナトスの象徴のような曲で、静かなピアノと重厚なストリングスが心の奥の暗闇に触れる感覚を与えてくれます。
一方で、OP「残酷な天使のテーゼ」ED「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」
OPの「残酷な天使のテーゼ」は、アップテンポで明るいメロディなのに、どこか刹那的で切迫した感覚があります。そこにはまさにエロス的な力—生の躍動、未知への衝動、体が勝手に反応してしまうような官能性—を感じる瞬間があります。特にサビの跳ねるようなリズムや、高音域の声の伸び方には、生命力のほとばしりと同時に、欲望のような緊張感があります。
一方でEDの「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」は、ジャズのしなやかなムードで、夜に漂う官能性や温かさを纏っています。滑らかに流れるリズムと、ゆったりしたメロディの中に、甘くて切ない感覚—これもまたエロス的な側面—を感じさせます。OPの熱量が「衝動のエロス」なら、EDは「甘美で内面的なエロス」という感じです。
つまり、エヴァのアニメーション体験とサントラは、視覚と聴覚を通して生と死の間の官能、欲望、切なさを自然に揺さぶる設計になっている、と言えます。
■ おわりに——タントラは“ふたつの力”を統合する道
エロスとタナトスは、人生の明と暗ではなく、
息を吸うことと吐くことのようにどちらも自然なもの。
“生きたい”と“手放したい”。
この二つの揺らぎの中に、人間らしさがあり、深い魅力が育っていくのだと思います。
そしてタントラとは、
エロスとタナトスの両方を否定せず、むしろ両方を味わいながら、生命の流れそのものを整えていく道。
生と死、始まりと終わり、官能と静寂。
そのすべてを一つの流れとして感じられた時、人は驚くほど軽く、自由になっていきます。
まさに「生と死は当価値」なのかもしれませんね。
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